記事: 里山の木を暮らしの道具に。KAMOSHIKA CRAFTを始めた理由

里山の木を暮らしの道具に。KAMOSHIKA CRAFTを始めた理由
代表メッセージ
私が木工の世界に入った一番の理由は、身近な里山の木を使って、暮らしの道具を作りたいと思ったからでした。
始まりは、「これほど山に囲まれ、たくさんの木が育っているのに、なぜ使われていないのだろう?」というシンプルな問いでした。2000年代初頭、日本の木材自給率は20%を下回っていました。豊かな森に囲まれながら、木材の多くを海外から買っていたのです。かつて人々の暮らしを支えていた里山の木々は、豊かになった現代の暮らしからすっかり取り残されていました。
一方で、私の目にはこのたくさんの木が宝の山のように映っていました。木は自然の素材で、役目を終えれば土に還ります。育つ過程でCO2を吸収するため、燃やしても大気中のCO2を実質的に増やしません。人は何千年ものあいだ木を使って暮らしを築いてきましたし、日本人の多くは木に特別な親しみを感じています。こんな素材はほかにありません。
そうして私は意気揚々と木工職人の修行に打ち込み、技術を身につけ、家具をはじめさまざまな暮らしの道具を自分の手で作れるようになりました。
けれど同時に、身近な木を使うことの難しさも思い知らされました。手入れされなくなった山は暗く生い茂り、木を伐る人も、それを製材する場所も姿を消していました。木を活かすための地域のつながりが、ほとんど失われていたのです。さらに、手入れの行き届いた素性の良いスギやヒノキとは違い、樹種も性質もさまざまな里山の木々を分け隔てなく活かすことがどれほど難しいかも知りました。
それでも、私が木工を始めた理由は今も変わりません。
見放された資源を、地域のつながりを結び直しながら、今の暮らしに求められるかたちに仕立てて届けること。
その思いを共にする仲間とともに、最初のかたちとして選んだのが「木のマイボトル」です。今や多くの人が毎日持ち歩くようになったマイボトル。いつも手元にある道具だからこそ、里山の木の手ざわりやぬくもりを、日々の暮らしの中で感じてもらえると考えました。
KAMOSHIKA CRAFTは、地域に眠る宝を、今を生きる人々の暮らしの道具として届けるための、私たちの挑戦です。

合同会社ツバキラボ 代表/KAMOSHIKA CRAFT 和田賢治
